第一生命経済研究所が「お墓についてのアンケート調査」を実施

第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部は、35〜70歳までの全国男女600名を対象に、郵送調査法によりお墓についてのアンケート調査を実施した(有効回収数:584名・97.3%)。

 墓参りに関する意識については、「そう思う」」「まあそう思う」と肯定的な意見を持つ人が最も多い項目は「先祖は私たちを見守っている気がする」(77.9%)、「お墓を守るのは子孫のつとめだと思う」(77.9%)となった。年齢層で有意な関連があるのは、「先祖のお墓を子孫に継承してもらいたい」「私の死後、家族にお墓参りしてもらいたい」という項目で、年齢層が低い層は高い層に比べると肯定的な意見を持つ人の割合は少ないが、どの世代でもお墓を子孫に守ってもらいたいという思いは強いといえる。
 誰と一緒のお墓(納骨堂を含む)に入りたいかという質問に関しては、「先祖代々のお墓」が39%と最も多く、次いで「今の家族で一緒に入るお墓」が25%となっており、家墓志向の人は少なくないという結果となった。しかし一方では、「お墓はいらない」との回答をした人は30.5%にも上った。性別では、「先祖代々のお墓」を希望する男性は48.6%だったのに対して、女性は29.9%と 20ポイント近い差が開いた。総じて男性の方がお墓に対して保守的な考えを持っているといえる。年齢層では、64歳以下の4人に1人は「お墓はいらない」と考えている上、35〜49歳では、「先祖代々の墓」と「今の家族で一緒に入るお墓」とがほぼ2分されていることから、若い世代では墓に対する意識が多様化しているといえる。
 無縁墓が今後増加していくという問題に対処するために、お墓はどのように維持管理されるのが好ましいかと思うかたずねたところ、「期限付きのお墓にして、継承する人がいなければ期限後に合葬する」は35.3%と最も多かったが、「寺や教会などが子孫に代わって管理する」は 33.4%となり、意見はほぼ2分されることになった。
 実際に自分のお墓が無縁化すると思うかに関しては、「いつかは無縁墓になる」は50.3%と半数に達し、「近いうちに無縁墓になる」と回答した4.1%と合わせると54.4%になり、「無縁墓にはならない」と回答した人は13.9%に過ぎなかった。
 合葬式のお墓については、「お墓としては好ましくない」はわずか5.8%で、「自分は利用したくないが、承継者の問題などから普及するのはやむをえない」は49.3%と半数近くに上った。
 散骨については、「葬法としては好ましくない」は14.7%で、「自分はしたくないが、他人がするのは構わない」と回答した人が55.1%と過半数を占めた。

 自分の墓が将来、無縁化しないと思っている人は1割程度しかいないということからも、墓を今後どのように継承していくのかは、多くの人々が共有する問題であることが明らかになった。しかし、「先祖は私たちを見守っている気がする」「お墓に行くと、亡くなった人と会える気がする」という価値観が老若男女を問わず根強くあることからも、お墓は残される者にとっては生きる原動力と成り得る存在であることも分かった。今後、墓の継承の永続性という観点だけではなく、どのような墓であれば死の不安の軽減に寄与できるかということも、墓地政策を考える上で重要な点になってくると、主任研究員である小谷みどり氏は分析する。


◆詳しい調査レポートの内容は以下より>>
『お墓のゆくえ−継承問題と新しいお墓のあり方−』(株)第一生命経済研究所 アンケート調査レポート